のどの病気
のどの病気
口蓋扁桃が細菌によって炎症を起こすもので、多くは急性咽頭炎に続いて起こります。原因となる菌は、溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌、肺炎双球菌、ウイルスなどですが、健康な状態では扁桃の免疫力が大きいため、このような菌がいても炎症は起きません。
しかし、過労、ストレス、アレルギー、暴飲暴食、寒冷などで体の抵抗力が落ちると炎症が起こります。治療は抗生剤、解熱鎮痛剤を中心とした治療になり、当院では外来点滴には対応しておりますが、飲水不能な状態では入院点滴治療の適応となりますので、連携病院へと紹介させて頂いております。
急性扁桃炎の炎症が遷延化すると、扁桃の周りに膿が溜まることがあります。そのような状態になると、口が開けにくく、しゃべりづらくなり、摂食不能な状態となります。可及的速やかに切開排膿し、抗生剤点滴による強力な治療が必要となります。
当院では、扁桃周囲膿瘍切開排膿、外来点滴には対応しておりますが、炎症が喉頭まで及び空気の通り道が狭くなっている場合、飲水不能な状態では、入院点滴治療の適応となりますので、連携病院へと紹介させて頂いております。
急性扁桃炎が繰り返し起こったり、急性扁桃炎の治療が不十分だった場合に、慢性扁桃炎になっていきます。このうち1年に4〜5回も急性扁桃炎を繰り返すものを習慣性扁桃炎と呼びます。このような状態ですと、お仕事や学校を扁桃炎の度に休むことを余儀なくされ、社会的不利益が大きくなりますので、全身麻酔下での手術適応となります。当院では、手術適応と判断された場合には、連携病院へと紹介させて頂いております。
インフルエンザ菌による急性喉頭炎のうち、のどのふた(喉頭蓋)に高度のむくみや腫れを生じたものです。発熱、強いのどの痛み、物を飲み込む時の痛み、ゼーゼーという喘鳴、軽いしゃがれ声などの症状がみられ、空気の通り道が著しく狭くなっている場合、命に関わることもあります。
喉頭蓋の腫脹が著明な場合、飲水不能な状態では、入院点滴治療、場合によっては緊急気管切開術の適応となりますので、可及的速やかに連携病院へと紹介させて頂いております。
喉頭がんは、声帯やその周辺に発生します。9割が中高年の男性で、喫煙・飲酒が密接に関係しています。声帯にがんができると、初期症状としてかすれ声(嗄声)が認められます。初期の段階で発見されれば、放射線療法で治癒することが多く、声を失うこともありません。そのためには、がんの早期発見が必要不可欠ですので、気になる症状がありましたら、早めの受診をお勧め致します。
上咽頭は鼻腔の後ろにあり、高さは頭蓋底から口蓋まである耳や脳に近い場所です。側壁には耳管咽頭口があり、中耳とつながっています。上咽頭がんは、EBウイルスの関与が指摘され、40〜60代の男性に多く見られます。初期には無症状ですが、首のリンパ節に転移しやすい傾向にあります。片方の鼻閉や鼻汁が臭い、鼻出血、耳が塞がった感じや難聴をきたす滲出性中耳炎を起こし発見されることもあります。
進行し、頭蓋底を破壊し脳神経に及ぶと、頭痛や視力障害が起こります。治療は放射線治療と抗がん薬治療(化学療法)を組み合わせて行うのが一般的です。
中咽頭は口を大きく開けた時、口に奥に見える場所で
の4つの部分を言います。
中咽頭がんはパピローマウイルスの関与が大きいといわれています。初期症状は、食べ物を飲み込む時の違和感、しみる感じなどです。やがてのどの痛みや飲み込みにくさ、しゃべりにくさなどが少しずつ強くなり、進行すると耐えられない痛み、出血、開口障害、嚥下障害などの症状が出現してきます。
下咽頭は中咽頭の下方で、食道の入口までの部分をいいます。下咽頭がんはここに腫瘍ができたものです。
のどが詰まった感じや咽頭の違和感に始まり、嚥下時痛、咽頭痛、声のかすれなどの症状が出ます。下咽頭の中でも、梨状陥凹にできるがんは男性に多く、喫煙や飲酒の多い人ほど発がんリスクが高くなります。
直接肉眼的に見ることはできないので、内視鏡検査による観察が必要です。初診時にすでに転移や周りに浸潤した進行がんになっていることが多く、治療は手術療法が中心ですが、放射線や抗がん剤を併用することもあります。
当院では、がんの早期発見に有用な狭帯域光法(Narrow Band Imaging : NBI)に対応しているオリンパス社の耳鼻咽喉科内視鏡システムを導入しており、がんの早期発見に力を入れております。がんを疑わせる所見、あるいは組織生検によりがんの確定診断となった場合には、がん治療が可能な連携病院へと紹介させて頂いております。