くびの病気
くびの病気
耳の前、耳の下にシコリが現れます。女性では多形腺腫という良性腫瘍が多くみられます。また、中年以降で喫煙歴がある男性では、ワルチン腫瘍という良性腫瘍が多くみられます。稀にがんが発見されることもあります。
当院では、まず超音波(エコー)検査を施行し、場合によってMRI検査(画像検査専門施設へと依頼)、および腫瘍の細胞を一部採取する検査(穿刺吸引細胞診)を追加し、確定診断を致します。治療は基本的に全身麻酔手術による摘出になります。当院にて確定診断の後、全身麻酔手術が必要な場合には、連携病院へと紹介させて頂きます。
片側または両側の耳の前から下側の腫れ、熱感、痛みが現れます。耳下腺は唾液を作る工場で、唾液は口の中に出ていきます。口の中からウイルスや細菌などが逆行性に耳下腺に感染を起こすことで症状が出現します。おたふく風邪はその一種となります。また、小児期にこの症状を繰り返す反復性耳下腺炎というものがあります。
まずは受診をして診断し、治療を開始することが重要です。当院では、血液検査、超音波(エコー)検査を施行し、診断を致します。
幼稚園年長〜学童期の小児に多く、片側または両側の耳の前から下側の腫れ、発熱、熱感、痛みなどの症状が現れます。ムンプスというウイルスが原因で感染力が強いため、通学は最低5日間は不可となります。また、同時に稀ですが聴力障害、髄膜炎を起こすことがあります。大人で感染を起こすと稀に睾丸炎、卵巣炎や膵炎などの重症合併症を起こすことが知られています。
また、ワクチンで予防することはできますが、100%ではなく、感染時に症状の軽減が可能といわれています。基本的には、耳下腺の腫れ、発熱が落ち着くまで自宅安静となります。当院では、血液検査、超音波(エコー)検査を施行し、診断を致します。
唾液は両側の耳の下にある耳下腺や顎の下部にある顎下腺などの唾液腺でつくられ、管を通って口の中へ分泌されます。この管の中のどこかで唾液の成分から生じた結晶が塊(唾石)となって次第に大きくなり、管を塞ぐようになって症状が出るようになった状態を唾石症といいます。
唾石は唾液腺の中でも顎下腺に最も多く発生(約8割)します。通常食事をしようとすると唾液が多く分泌されるようになりますが、唾石があると管の途中で唾液がうまく流れないため、もとの唾液腺が腫れて痛みが起こります。顎下腺の場合は食事の際に唾石がある側の顎の下にある腺が腫れます。食事をやめてしばらくすると腫れは治ります。まれに自然に排出されることもありますが、多くの場合は手術により管の一部を切って唾石を摘出(局所麻酔)するか、腺の近くに唾石ができている場合には顎下腺ごと摘出(全身麻酔)します。局所麻酔下に施行する唾石摘出術(口内法)は、当院にて施行可能です。
顎の下にシコリが現れます。多くの場合は、押しても痛みはありません。リンパの腫れの場合もありますが、顎下腺の中にできた腫瘍の場合、多形腺腫という良性腫瘍が多いです。まれにがんが発見されることもあります。当院では、まず超音波(エコー)検査を施行し、場合によってMRI検査(画像検査専門施設へと依頼)、および腫瘍の細胞を一部採取する検査(穿刺吸引細胞診)を追加し、確定診断を致します。
治療は基本的に全身麻酔手術による摘出になります。当院にて確定診断の後、全身麻酔手術が必要な場合には、連携病院へと紹介させて頂きます。
舌の下側にある唾液を作る組織である舌下腺から唾液が正常に流出できなくなり、唾液が溜まって腫れる病気をがま腫といいます。舌の下側や顎の下に柔らかい腫瘤が出来ることで気付かれます。当院では、超音波(エコー)検査、MRI検査(画像検査専門施設へと依頼)にて確定診断を致します。根治治療は、全身麻酔下での舌下腺摘出術となりますが、当院では姑息的治療としてのがま腫切開排液に対応可能です。
歯などで唇を傷つけた際に、唇の中で唾液上の液体が溜まってしまいできる、水ぶくれのようなできものが発生します。悪性ではなく、10歳未満から30歳代くらいまでの若い方に多く見られます。一般的に痛みはなく、柔らかく球状にぷっくりと腫れているだけです。下唇にできることが多く、左右のどちらかに寄った場所にできます。
悪性ではないので放置していても構いませんが、潰れるたびに大きくなったり硬くなることもあります。そのような場合は、手術にて摘出することをおすすめします。当院では、局所麻酔下での口唇のう胞摘出術に対応可能です。
首の付け根あたりに柔らかい、または弾力のあるシコリがある場合、甲状腺腫瘍を疑います。当院では、まず血液検査ならびに超音波(エコー)検査を施行し、場合によってCT検査(画像検査専門施設へと依頼)を施行致します。必要であれば細胞の検査(穿刺吸引細胞診)を行います。比較的小さなもので、画像検査上も悪性を疑うものでなければ、超音波(エコー)検査などで経過観察となります。
当院では、甲状腺がんが疑われる所見が認められた場合には、安全に穿刺吸引細胞診が可能な連携病院へと紹介させて頂きます。
首の両側には多くのリンパ節があります。その部分が腫れる病気を総称して頸部リンパ節炎といいます。かぜなどにより細菌やウイルスが鼻やのどに感染すると、そこから体内に侵入します。そこで首にあるリンパ節が働き、細菌やウイルスが全身に広がらないように食い止めます。その結果、リンパ節が腫れて痛みが出てきます。
この状態を頸部リンパ節炎といいます。当院では、血液検査、超音波(エコー)検査を施行し、確定診断致します。抗菌薬や消炎鎮痛薬の投与により通常は1〜2週間でよくなります。炎症のうち結核性リンパ節炎は、結核に対する治療が必要となります。
頸部のリンパ節が腫脹する疾患は多くあり、炎症または腫瘍によるものが代表的です。痛みを伴わないリンパ節腫脹の場合、腫瘍の可能性を考える必要があり、その中でも悪性リンパ腫は、リンパ節そのものが悪性化する疾患です。病巣が頚部だけに限局しているのか、他の部位に及んでいるのかをまず診断した上で、抗がん剤などによる治療を行います。
リンパ節に他の部位のがんが転移してリンパ節が腫脹するリンパ節転移の場合には、もとのがんとともに転移リンパ節を治療する必要があります。頸部リンパ節転移の場合、原発巣は頭頸部領域(唾液腺、口腔、咽頭、喉頭、甲状腺など)にあることが多いので、当院では、咽喉頭ファイバー検査、超音波(エコー)検査、穿刺吸引細胞診を組み合わせて、確定診断を致します。